1.聖剣を手に入れた
……ついにツキが向いてきた。
この草臥れた国境の空白地帯で俺は、過去の遺物と呼ばれる刀を手に入れた。
なじみのバーの親父に言わせてみれば、かなりの業物らしい。
「ヴァガボンドよ。お前さん唯でさえ狙われてるってのにそんなモンもってたらもっと危なくなんじゃねえのか?」
「……」
「精々気を付けるこったな」
親父の言はもっともだが、俺はこいつで成り上がることにためらいはねえ。
俺の首に金をかけたやつには、もっとデカい金をかけさせてやるさ。
ただ、今の俺には致命的なことがいくつかある。
ひとつじゃない、いくつかあるんだ。
まずは根本的な地力……ようは実力がまるで無え!
たとえば俺の腕力だが、ハッキリ言ってからっきしだ。
ってえことは腕っぷしもねえ。
つまりやたらいい武器だけもってる雑魚だってことだ。
そのうえもう一つ大事な事がある。
それはおれが賞金首だってことだ。
しかもHNとUNからってことだ。まったく景気のいいことに2万catも出していただけるらしい。
はははっ最高にご機嫌だな。
……で、このボーダーゾーンまで逃げてきたってわけなんだが.........
はてさて。
どうしたもんか。