ヴァガボンド剣士日記

一人用サバイバルオープンワールドRTS&RPG、kenshiのプレイ小説

俺たちの明日は……どっちだ!?

26.戦闘訓練その3

パックビーストのバックパックが溢れるほどの皮と肉。

……そう言えば少しはこの戦いの苛烈さが分かってもらえるだろうか?

 

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 ヴェイン渓谷は、近年まれにみるビークシングの大発生により、熾烈を極めていた。

 

常であれば数十人の戦闘ドローンたちが村を守っていたはずが、今では数えるほどに減らされるほどの猛攻を受けていたところに、私たちは足を踏み込んでしまったようだ。

 

「レーン! 次が来る!!」

 

二体のビークシングを相手に板剣でいなしながら、ルカが叫んだ。

パックビーストのガルルには、ハイブの家屋に放り込んでじっとしおくように言っておいたので被害の心配はない。故に魂の限り戦い続けることができるのだが、いささかその物量に辟易してきた。

 

「ぬうううおりゃああああ!!」

 

カンが吠える。

あわや食いつかれそうになった腕をかわしざまに、叩きつけるような裏拳、さらに振り払いの薙刀を獣に叩きつけて昏倒させた。

 

「次だ!!」

 

こいつらビークシングは、油断していると容赦なく体に食らいついてくる。ほんの数体を相手にしていたはずの私たちは、気づけば十数体にまで膨れ上がっていたようだった。

 

人の気配とは違う、濃密な獣の臭気と血の匂いがあたりに充満し、それがさらにあらたな獣を呼び寄せていく。すでに日をまたぐほどの時間を戦い続けている。

……少し熱くなってきているな。

 

「猛るな!逸るな!! 清水の如く捌くのだ!!」

 

「「応!!」」

 

数多い相手との闘いで、闘争に身を任せてしまうようではまだまだだ。ヴァーグの動きを思い出しながら、私は九環刀で二体のビークシングの攻撃を受け流す。わずかな淀みを切り裂くような動きは、流れる水のようであればいい、そう思いながら、そしてそれを追い求めながら、私は目の前の敵を崩していく。

 

倒れこむように川の水をすすり、倒したばかりの獲物に食らいつき、怪我を手早く血止めに留めながらも飽くなき闘争を繰り返す。

 

「そろそろよかろう」

 

そして誰もが獣を処理するためだけの存在に至るころ、リーフがそう呟いた。

 気づけば、あたりにもはや動くものは居なくなっていた。

 血と臓物に塗れた体の重さに気づくころには、私は自分がビークシングの巣跡に立っていることに気づいた。

 

「これは……?」

 

みれば卵の残骸の中に、一振りの刀が生えていた。手に取ってしげしげと眺めてみるが、冴えるような輝きには一点の曇りもない。

 

「おお、良い剣だな」

 

それを見ていたオロンが嘆息を漏らした。

誰かは分からないが、名のある剣士がここで命を散らしたのだろうか。

 

――余談だが、ビークシングの卵で無事であったものを持ち帰ったのだが、かなりいい金になったようだ。これで活動資金もより潤沢になるだろう。