37.蜘蛛の王1
「ここは私たちに任せて先に行け!!!」
攻め寄せるスキンスパイダーの群れをレーンたちに任せて、俺とリーフは塔へと駆ける。
赤茶けた大地を埋め尽くすように広がる蜘蛛の群れのその奥に、屹立する暗鬱な塔へと。
塔へ入ると、一階のフロアスペースにはスキンスパイダーだけではなく、スワンプに生息しているブラッディスパイダーの姿もあった。
「ヴァガボンド! ここはワシに任せろ!!」
リーフが前に出ようとした俺を制して叫んだ。
俺は返答を行動で示すように、奥に見える上へとのびる道へ駆ける。気配から上に居るのは一人、ないし二人だというのは分かっている。
緩やかなスロープを登り切ったその先にあったのは、粗末なテーブルとイス、奥に鎮座するちいさなチェスト、そして……
怪しく輝く異国のサーベルを手にした、浅黒い肌をした半裸の男だった。