終.そしてこれから
「お前の働きはクラルの偉業に次ぐ」
「私たちはお前を友……いや、我々シェクの家族として迎え入れるだけの用意がある」
そう告げられる言葉の重さに、以前来たときはそれこそクソ虫でも見るような扱いだったが、それほど強さって基準がシェクにとっては本当に大事なんだってことをつくづく痛感させられた。
「……光栄だ」
「お前には私の娘を預けたい」
「……え?」
「手すがら鍛え上げてきたが、まだまだお前に学べることもあろう。決して足手まといにはならないと保証する」
え?
しなやかな肢体。
無駄ひとつない腕。
曇りのない瞳。
重厚な板剣を軽々と背負うシェクの娘が背後から進み出ると、俺の横に並ぶ。
「私はセト。よろしく頼む」
「え?」
「宴だ!!」
『ぉぉぉぉおおおおおおおおお!!』
それまでは後ろに控えていた多くのシェクの戦士が、宴の一言になだれ込んできた。少し頬を赤く染めて俺の隣に侍るセトの姿と、それを見るレーンやルカの視線が痛い。
が、彼女らも他の屈強なシェクの男たちに囲まれて、宴の夜はふけていく。
「これで、俺たちはようやく始まるんだな」
感慨深く夜の星々に杯を掲げながら、おれはこれからの未来を幻視する。
聖国の在り方、帝国の脅威、シェクとの共存。
何を求めて何を得て、そしてどんな世界を作っていくのかを考えていかなきゃならない。
それを決めるのは、いつだって俺たち自身なんだから。