39.蜘蛛の王3
右足、左腕、そして下腹部に痛打を浴びたバグマスターはその身を横たえた。
「あぁ、いてえ」
簡単な手当を済ませた俺は、気を失って倒れているバグマスターをそっと担いだ。
「さて、帰るか」
バグマスターからはきっちりと獲物を奪いとってある。
あとで鑑定したところ、神代につくられたマジモンの神剣だったことは余談だ。
階下に降りると、殲滅された蜘蛛のとどめを刺していたリーフが俺を見て満面の笑顔を見せる。
「やり遂げましたな?」
「ああ、レーンたちを迎えにいくぞ」
「そうですな、行きましょう」
外はまだ夜明けを迎えていないため、相変わらず暗闇が支配していたが、俺たちは迷うことなく飛び出した。
レーンたちの奮闘の成果か、蜘蛛の姿は見えない。
赤い雨が降り注ぐ塔を俺たちは逃げるように後にした。