13.敗北、そして
「……ううっ、クソ、いてえ……」
気づいたとき、俺は町外れの盗賊ギルドで寝かされていた。
不安そうな瞳で俺を見守っていたのは、唯一TheHubで訓練に出していたアイヌだった。
「……ふう」
気づいた俺を見て安心するように息をつく。他の奴らも?と聞けばコクリと頷きを返すアイヌに促されてみれば、盗賊ギルドのてっぺんにある休憩場は、全部俺たちが占拠している状況だ。「お?気づいたのか。無事でよかったなお前ら」と、もうすでに馴染みになった盗賊ギルドの商人が声を掛けてきた。
「マジかよ……」
その光景にしばし茫然とした俺は、こみ上げる笑いの衝動に声を挙げた。
「ふっ……くくくっ……ぶっははははははは!!!」
やられた!
おもいっきりやられた!!!
ここまでくるといっそ清々しいくらいに負けた。
「大丈夫?」
滅多に話さないアイヌが俺にそう声をかける。
ああ、滑稽だ。
これが笑わずにいられるか?奴らにとって俺たちはすぐにでも叩き潰せる塵芥にすぎなかったってわけだ。それを叩き潰そうだなんて走り回ってた俺の姿は、どれほど滑稽だったんだろうか。
「ちくしょう、絶対にぶっ潰してやる!」
豹変したように息巻く俺に、アイヌが目を白黒させている。
特にあの一番偉そうにしてた……セトとか呼ばれてたヤツ。あいつは絶対に俺が倒してやる。
握りしめる拳は少しケガに響くが、そんなことは今の俺にはどうでもいい。
眼下に広がる荒涼とした風景に、俺は目指すべき目標を見ていた。