24.戦闘訓練その1
私の名はレーン。
ヴァーグことヴァガボンドが率いるネイムレスの戦闘指揮官として、軍事面を預かっている身だ。
先日の謁見で、ヴァーグがバヤンとの約束にあのバグマスターを始末するなどと大言を放ったお陰で、これからその準備を進めるところだ。
正直なところ、私が生まれた時からバグマスターは恐怖と畏怖の対象であり、また憎むべき敵だった。
実際にやつの姿をみたものは少ないが、それは奴と対峙して生き残った者が極めて少ないことを意味している。
シェクは勇猛だ。
ゆえに生き残ることそのものが罪のように扱われる……そういう理由もあるだろうし、相手があのバグマスターでは挑まぬ者の方が少なかったのだろう。
「どちらにしても、鍛えればいいんだな」
ニヤリと口角をあげつつ、己を高めるいくつかの方法を鑑みる。
巨躯の二つ名で呼ばれてきた私は、そのアドバンテージを最大限に活かすための戦いを己に課してきた。そしてそれは、シェクとして生まれた私にとってとても素晴らしい物であったことは言うまでもない。
ヴァーグは強い。
そのヴァーグがさらなる高みを目指そうとしているのに、私がただそれを見ているだけなんてありえない。
最高のメンバーを揃えて、最高の鍛錬でバグマスターを討伐しようじゃないか。