32.聖国の再襲撃2
スクインは一転して血で染まった。
至る所に迸る血痕が、戦いの激しさを物語っていた。
私たちとHNとのし烈な戦いは一昼夜続けられ、おびただしい数の死体の山を築き上げていく。
しかし仲間は次々と倒され、シェクの戦士も数の暴力にはあらがえず、次第に倒れていった。私たちの力はいまだ及ばず、このまま蹂躙されて何もかもを再び失ってしまうのだろう。
「フハハハハ! やはりオクランさまの教えは偉大である! さあ、跪け! われらの正義をここに示せ!!」
袈裟懸けに切られて出血し、もはや虚ろな意識を抱えていた私に、セタの勝ち誇る声が耳に届く。嫌悪感しか覚えない彼の声に、しかしながら圧倒的な絶望感をまた再び感じさせられていた。
「まにあったぜクソッタレ!!!」
その時だった。
門から二人の人影が飛び込むように差したかと思えば、懐かしくも頼もしい彼の声が響いた。
「ヴ……ヴァガ、ボンド……」
「アイヌ!! ……よくも好き勝手やってくれたな手前ら……」
朝日を浴びて、ギラリと解き放たれた彼の剣が光る。
その剣は遥か神代の歴史の中で生まれた名剣だという。
「覚悟しやがれ!!!」
今、その剣は確かな使い手の元で閃いていた。